【退職エントリ】SES嫌いだけどSESとして働いて退職するまで

はじめに

2年ほど勤めたSES(開発者派遣・客先常駐の業態)主体の会社を退職した。

僕は元々SESが嫌いで、その存在を知ったときから絶対その業態では働きたくね〜〜〜〜と思っていたし、
前前職でやむなく客先受注に出されたときにはいろんな圧力が原因で精神を病んでいる。

ところが、色々あって「実際にやってみなきゃわからん」と妙にポジティブな気持ちでSESの会社で働くことを決めた。
そして最終的に、インターネットで言われる「SESのこれがダメ」は正解だったことを知り、退職を決めた。

※注意:この記事はあくまで退職エントリです。「SES」っていう主語でものを語るつもりではないのでご理解ください。あくまで僕の経験です。

誰用の記事なの

  • 自分用 ... 今思っていることの記録として書き残す
  • 日本のSES会社で働こうと思っている人 ... こんなSESの会社があったよ、という文脈で業界についてちょっとでも参考になれば

なぜSESで働こうと思ったか

(今回退職した会社は以後A社と表記する)
A社で働くことを決めた理由は2つある。

  • その時もらった内定の中で、給与が一番良かったから
  • 内定後面談のときに、その時の自分のスキルが一番活用できそうな仕事を提示してもらえた

もともと、A社入社前の職探しのときからすでにSESの会社は候補から外していた。
社内で働ける求人だけを選んで面談を受けに行っていたが、行った先で「あなたは一度社外常駐(=SES)を経験したほうが今後の成長につながると思います」と言われることが何度かあった。詐欺求人ぢゃん。

だが、当時の僕はとっても若かったので、何回か言われるうちに「おや?何人もの人が同じことを言うんだからそうなのかもしれない?」と思うようになった。
勧められると買わずに立ち去れないタイプである。

そんなうちにSESで+50%の給料額を提示してくる企業が見つかった。それがA社だった。
金に目が眩んだ僕は「食わず嫌いでSESを評価するのも良くないよな^^」などと思い、前向きに入社を検討していますと伝え、
後日改めて具体的な話やすり合わせをして、ここでやっていきたいと判断した。

ちなみに余談だが、当初は他の会社を第一候補に据えていた。
だが、内定後に懇親ランチに誘われて参加した際、ごはんは美味しかったがその人達と食べるごはんが美味しくなく感じてお断りしてしまった。
あのときのごはんが美味しかったらまた違った未来があったのだろうか。などと考える。

なぜ退職するのか

良い点ももちろんあるが、その倍くらい悪い点が見えた。インターネットのSES批判は80%は正しかった。
改めて僕はSESが嫌いになったし、二度と彼らに売られる身分にはなりたくないと思う。

良い点。学習のための書籍代や資格試験受験料などをきちんとくれる会社だった。
とはいえ僕以外の人はほとんど使っていなかった。

悪い点・そして僕が退職を決めた理由。以下に詳述する。

①コミュニケーションと情報共有が全くない

客先常駐で社外にいる社員に会社の情報をまったく届けてくれなかった。
他のSES企業では帰社日だったり、営業による面談が月1回くらいであるという話も聞くが、A社はそういったものがまったくない会社だった。
社外に出たらそれきりで、会社との接点は勤務表提出か経費申請くらい。
台風など災害時には上司から出社時の指示が出るなんて話も聞くが、なんのメッセージもなし。
もちろん、会社の事業計画なども知らない。会社に何人従業員がいるかも知らない。

コミュニケーションがないので、「僕はこの会社に所属している意味があるのか?」と何度も考えていた。
けどそこで終わっては勿体ないので、自分がコミュニケーションカルチャーを耕そう!と決めた。それが1年前である。

年に2回くらい、時々気まぐれに飲み会が開かれたりするので、そういうときは毎回参加していた。
コミュニケーションの機会を作ろうと、会社のSlackにチャンネルを開設して毎日発言したり、勉強会を主催したりもした。
ずっと社外に居て社内の情報が全くわからない自分にできることはできる限りやったつもりである。稚拙だったかもしれないが。
1年その活動を続けて、2人くらい共鳴する人ができた。でもそれだけ。疲れてしまった。

最終的にとどめになったのは、社員に知らされていない福利厚生の存在だった。
何気なしにA社のホームページとリクルートサイトを見たら、新しい福利厚生制度の運用を開始しました!と書いていた。
その記事を閲覧した1ヶ月前から運用開始したことになっているが僕は何も聞いていない。
未だに社員にそれらを通知したという話は聞いていない。

②役職者・経営者が法律知識ゼロ

会社から労働法に違反する指示を出されたことも何度かあった。
まあそれはブラック企業あるあるですよね。
ちょっとこれについては書いていいのかわからない部分もあるので気になる人はメッセージ下さい。

全然書けなかったが、つまりは、意図してるのか無知なのかはわからないが、雇用者側を法的に不利にする行動が何度かあり(法的にグレーだが黒ではない)、
「いずれもっと大きな問題に巻き込まれるのでは」と危機感を感じたから逃げた。

③企業間の揉め事で業務に集中できない

SESというのは自分の所属会社と実際に働く現場に何層もの子請け・孫請けを挟む業態である。
繋がりが複雑になればなるほど、揉め事が起きる可能性は上がる。

SESとして働いた期間は短期間だったが、自分も何例か見たし、巻き込まれそうになった。
揉め事の原因は様々だったが、決まって最後には、僕たち派遣奴隷の開発者が営業の切り札として使われる。
「あなたたちが気に入らないならうちが出してる開発者の契約解消しますよ」って。
そのたびにこっちはヒヤヒヤして来月の仕事を案じるのである。精神衛生に良くなかった。


ネガティブな退職理由は以上。それから最後に、自分の目標のために退職する、ということも付け加えておく。
具体的な目標ができて、今後それに向かって努力していこうとした中で、A社のある部分が自分の活動の妨げになっていることに気づいた。これは精神的に、である。
この部分について語るのもちょっと恥ずかしいので、割愛。

退職にあたり、かなり葛藤があった。
海外カンファレンス派遣に出させてもらった恩義や、これから自分がこの会社をもっと良くしていけるんじゃないか、まだベストを尽くせてはいなかったのではないか、という心残りがあり、A社で続ける未来も模索した。
最終的には周囲からのアドバイスによる後押しもあり、自分の気持ちに無理をしない選択肢を選んだ結果、退職に踏み切った形である。

次何するの

SESのメリットでもある「経験が積める」もまた正しかった。
PHPer/Java屋だった自分はPythonistaに転身し、その結果次の仕事が決まった。またPython書きます。
次の職場はちゃんと社内で腰を据えてお仕事ができる場所を選んだ。
また、自分がA社を退職した理由(上記3点)についても、次は同じ目には合わないだろうと確信できる根拠をもらっている。

さいごに

今後も頑張って生きていくので、皆様どうぞよろしくおねがいします。